一生賃貸物件に住むという選択
「賃貸」と「持家」どちらが良いかーこの点については長年議論がされているところです。それぞれメリット・デメリットがあるのはもちろんのことですが、個別の事情によっても異なるところも多いため、いわば「人それぞれ」が結論になってしまっている状態です。
「自分は一生賃貸派なんだ!」ーそう思っている方に想定してほしいリスクなど留意点をまとめていきたいと思います。
□老後も固定費がかかること
持家と比較して賃貸に住むことのメリットとして挙げられるのは、ローンを支払わなくてもよいという点です。一方で賃貸にはローンと違って「完済」がありません。老後、仕事をリタイアした以降も家賃という固定費の負担が生じることになります。
この固定費を払い続けることができるのか。退職までの貯金を取り崩す形になるのか、年金だけで家賃を賄うのはかなり困難なのでその他の固定収入から支出することになるのかを考える必要があります。
□老後賃貸を借りにくくなるということ
賃貸派の意見の中で一番見落としがちなのが、この点ではないかと思っています。現在、特に高齢の単身者については賃貸物件を借りるのが難しくなっています。いわゆる「孤独死」のリスクがあること、近隣住民とのトラブルのリスクが高まることなどが主な理由として挙げられており、保証人を立てた場合であっても困難というのが実態です。
□人口減少により賃貸物件は借りやすくなる?
「今後は人口減少により賃貸物件が借りやすくなる」という意見があります。国立社会保障・人工問題研究所の統計によると、未婚率の増加や核家族化の影響を受けて、単身世帯が増加しており、 2040年には単身世帯の割合は約40%に達すると予測されています。
人工は減少すると言っても世帯数自体は今後も増加すると見られています。そんな中で高齢者、しかも定年退職後で給与収入がないとなった場合に、賃貸物件が借りやすくなるとはなかなか考えにくいと考えています。
□最後に
一生賃貸物件に住むというのはライフスタイルの1つの選択肢ですが、一生賃貸に住むことのリスクも考えておく必要があります。ずっと家賃という固定費を負担していく必要があるならば、定年退職後は余暇を過ごすという従来の生活スタイル自体も変えていく必要があるのかもしれません。